ビジネスについて

「ビジネスをつくる」とはどういうことか?

笠原社長と会社の中枢メンバー3人(年本、尾ノ上、前沢)が、ビジネスについて語り合います。


笠原:

「ビジネスをつくる」ということだけども、日常働いているなかで、実は我々は既にいくつもビジネスを作ってきている。

例えば、リーマン・ショックの後、我々は半導体の分野に参入するため頑張ってきたけれど、組立装置や全自動検査装置を協力会社と一緒に作り上げたよね。それらをベースとして新しいマーケットに参入している。

あるいは、治具(部品を固定する作業工具)なんかも、お客さんのニーズや悩みをヒアリングして、それらを解決できる治具にして提供している。それから、昨年から技術センターの仕組みづくりやっているけど、これも同じ。

こういった、これまで社内で取り組んできた様々な仕事、そしてそれを通じて蓄積してきたノウハウというのは、他の会社にとっても非常に価値のあるものなんですよ。価値が提供できれば、それはビジネスになる。

つまり、社内で育んだ技術や知識を活かして、もっといろいろな人の役に立つビジネスを作り込んでいく。これがサンケイエンジニアリングの今後の姿なんじゃないかと思っているんだよ。

 

前沢:

お客様から電話がかかってきて、いろいろな質問をお受けして、対処法をお伝えしたり、あるいは別の製品をオススメしたりということを皆やっているけれど、これ自体、立派なコンサルティングなんですよね

逆に言えば、一方的に取扱説明だけをして終わり、というやり方を私たちはしてこなかった。こういう状況ならこんな解決の仕方がありますよ、それなら抵抗測定をした方がいいですよ、というような対応をし続けてきたからこそ、顧客対応がコンサルティングのレベルにまで高まっているわけ。

 

笠原:

メーカーということで考えると、「図面をくれるなら作りますよ」という所は非常に多い。言い換えれば、「そちらで考えてくれれば、形にします」と。それで言うと、ウチは「考える」というところでお金を稼いでいる会社なんだよね。

お客さんから与えられるのは、「こういう測定がしたい」「こういうことを実現したい」というゴールだけで、図面もない。ということは、我々自身がゼロから考えて形にしていく必要があるわけだ。

納品物としては確かにモノがあるんだけど、実際には、こうやって「考えて」「解決して」というプロセスに対してお金をいただいているんだよ。ウチは「オーダー通りに作る会社」じゃなくて、「考えて生み出す会社」だということ。

 

前沢:

逆の目線で言えば、コンサルティングだけじゃないというところもウチの強み。コンサルティングだけやる会社もたくさんある中で、うちはコンサルティング+ハードを提供するところまでできる。設計、ソフト、ハード、管理と、それぞれの分野のプロフェッショナルが社内にいるわけだから。これはとても大きな特徴だと思う。

 

笠原:

これまでウチは、社内でいろいろなことに取り組んできたよね。これは要するに、実験だったわけ。社内で徹底的に実験して、課題を見つけて改善してってことを繰り返してきて、うまくいく方法を見つけてきた。これを今度は外に売っていく、という話なんだ。

例えば、尾ノ上が技術センターの生産性向上に取り組んで、すごく大きな成果をあげているよね。このノウハウは、他の会社だって欲しいはず。尾ノ上自身、このノウハウを使って他社の生産性を上げる自信あるでしょ?

 

尾ノ上:

確かにそうですね。うちの奥さんが医療系の仕事をしているんですけど、そこでの管理体制の話なんかを聞いていると、自分ができることってたくさんありそうだなあと感じますから。サンケイは製造系で、奥さんは医療系ですが、実はやることってあまり変わりはなくて、目的・目標を明確化したり、見える化したりと、同じノウハウが活用できるとは思いますね。[/talk]

 

笠原:

他の会社に行った時にさ、「ここ、こうしたらもっとうまくいくのにな」って思うだろ?(笑)

 

尾ノ上:

それはあります。単純なことで言えば、整頓されているかどうかとか、挨拶の仕方とか、雰囲気とか。考えてみれば、そういう目が養われたのも、自分が自分の会社でそういう仕事をしたからですね。3年前の自分だったら、今のような見方はしていなかったと思います。

 

笠原:

うん。今は徹底的に意識できているもんな。それはやっぱり自分たちで実行して、さらに言えば、それで大きな実績が生まれているからだと思う。だから今後は、これをどうやって他社にビジネスとして展開するか、という視点でやってもらいたいんだ。その為には、今のウチの体制をもっともっと作り込んでいく必要があるよね。

 

年本:

日本のいいところでもあり悪いところでもあるんだけど、線をきちんと引きたがるんですよね。電気屋さんは電気の仕事だけ、機械屋さんは機械のことだけ、というか。電気屋さんに機械屋さんのことを言っても「それは機械屋さんに聞いて」となってしまうことが多い。そういう意味でサンケイエンジニアリングって会社は、もっと全体を見ながら課題解決してきましたよね。だから尾ノ上の言うように、たとえば医療系とか、あるいはまた全然違う業界にも価値を提供できるように思います。

 

笠原:

年本のやっている機械加工の部分は、ビジネス化ということで言えば一番具体的なイメージがわくよ。年本が50歳になる頃には、加工の請負事業というのが完全に別事業として成り立っていると思うよ。

その、線を引きたがるという話もその通りで、それは一言で言えば何かと言うと、プロジェクトマネージャーが不在だということなんだよね。1つのプロジェクトを統合的にまとめる部分が弱い。だから「これは電気屋の仕事」「これは機械屋の仕事」みたいな話になってしまう。こっちからすると、「もっと互いに踏み込んでいこうぜ!」と思うんだけどね。

ただ、そういう状況だったらこそ、我々がノウハウを蓄積できたということはあるんだ。まわりの業者さんが踏み込んでくれない部分を、我々は自分たちでやっちゃったわけだ。「できない」で終わりになっちゃうから、「じゃあもう自分たちでやってみよう」となっていった。これも、さっき言ってた社内実験だよね。そうやっていろんなことにどんどん首を突っ込んでいった結果、こんなに幅広い技術を手にすることができたわけ。

 

年本:

だから、「私はこれだけやっていればいいですよね」という世界じゃなくて、相手が何に困っているかを理解して、それにはどんな技術が必要でそれはどこに掛け合えばいいのか、どんな部品をいくらで仕入れればペイするのかということを、全体を見渡しながらやっていくということが必要なのかなと。

 

笠原:

いいこと言ったね〜! まさにそういうことなんだよ。それをこれから作ろうとしているんだよ!

 

前沢:

こないだカンボジアの拠点に行った時に、たまたまカシューナッツの栽培現場を見て。その時に、「あ、これの殻を割ったり、割った殻の排除とか、ウチの機械を転用できるよな〜」って思ったの(笑)。振込機とか組立機を改造すればできるなって。

だから、例えばその農業みたいに、うちのノウハウや技術というのは、他業種への展開が思った以上にできるんじゃないかって。視点をちょっと変えてみれば、今のうちの技術でも充分に役に立てることがたくさんある。

だって、うちがやってるのは何ミクロンとかそういう世界でしょ? 多分、カシューナッツの殻割りにはそこまでの精度は求められないと思うし(笑)

 

笠原:

そうなんだよ。だから、年本とか尾ノ上とか、実は仕事してる場合じゃないんだよ(笑)。前から言っているけど、優秀な人材ほど過剰人員にしろと。現場から完全に離れて、完全なフリーな状態を作っていく。

 

尾ノ上:

そうなったら、ちょっと畑とか見に行くかもしれないですよね。

 

笠原:

そうだよ。そういうのがどんどんビジネスの種になっていくんだよ。

ただ、そういう種を見つけてこれるのは、年本や尾ノ上にやっぱりそれだけの知見があるからなんだ。二人もここまで来るのに10年以上かかっているわけだよ。で、その知見を誰かにそのまま引き継げるかって言うと、そんなに簡単なことじゃないよね。

だからこそ、こういう人たちを会社としては絶対に大切にしていかなければならない。そしてその一方で、こういう人たちがいるから下が成長できないという状態も避けなければならない。

じゃあどうするか、というときに、今言ったように、優秀な人ほど過剰人員にしていく、というやり方をするんだ。現場の実務からは距離を置いて、外から情報を持ってきたり、あるいはマネジメントや指導を通じてその知見を受け継いでいく。

要は、いてくれればいいんだ(笑)。いてくれさえすればよくて、普段は他のことやっていても、困ったときにしっかり助けてくれる。そういう優秀な社員がたくさん揃っているのが、たぶん強い会社なんだと思う。

それができれば多分、年齢とかにもあまり関係なく、イキイキ働ける環境が実現できると思うんだよな。年金のこととかいろいろ心配するより、じゃあもっと長く楽しく働ける環境作っちゃおうぜ、その上年金ももらえたらラッキーじゃんっていう(笑)。

だから話をまとめると、会社のビジョンとしては「ビジネスをつくっていく」ことを目指していくと。そのためにとにかく社内でいろいろな実験をして、精度を上げて、外に売れるようなクオリティまで高めていく。そういう方向性で頑張っていこうということだね。