バカ者から生まれたプロジェクト①

バカ者から生まれたプロジェクト①

精密プローブ組立プロジェクト
恵比寿 和也(2010年入社)

直径0.3mmの極小部品をつくる

精密プローブは、インナータイププローブと呼ばれる極小部品を製造する「組立機」のことだ。直径は0.3㎜。0.3㎜のパイプの中に部品を組み込むインナータイププローブの組立機である。この設計および機械の調整に奮闘したのが、変わり者の多いサンケイの中でも独特の存在感を放つ恵比寿和也だ。

「これをやったのは入社3〜4年目くらいでしたかね。その頃の僕、なんか暇してたんですよね。だから選ばれたんだと思いますけど。楽しかったかって? いや楽しくなんてなかったですよ。ただただ大変だったなと(笑)」

クライアントからのオーダーは、直径0.3mmのインナータイププローブを、月産数十万本。サンケイエンジニアリングとしても進出を検討していた半導体分野の案件だ。しかし当時のサンケイエンジニアリングに0.3mmというサイズの部品組立経験はなく、さらに、月産数十万本というのも未知の世界だった。

「大した知識もないわけだから、最初はわけわからなかったですけど。でもまあ、もう注文は入っちゃってるわけですから。やるしかないですよね」

 

最大の課題は、恵比寿のキャラクター?

まずは設計担当と打ち合わせを重ね、既存マシンを改造することで、何とか試作機を作った。だが、これがなかなかうまくいかない。

「最初は素材をうまく掴むこともできなかったですよ。無理やり掴もうとすると、折れちゃうとか曲がっちゃうとか。設計の人と一緒にもう何度も何度も機械を調整して、それでなんとか上手に掴めるようになったんだけど、今度は別の部品に入れる工程でまたストップ。で、また調整の繰り返しです」

そしてもう一つの課題、それが月産数十万本を実現するためのスピード、サイクルタイムだ。

「結局、ゆっくりやれば精度は上げやすいんですよ。でもかなりのスピードで仕上げていかないと10万本以上なんて月産できない。サイクルタイムが1秒伸びるだけで、仮に30万本で考えたら80時間以上違うってことですから」

さらに、最大の課題と言ってもいいのが、恵比寿自身のキャラクターだ。彼を以前からよく知る先輩の年本はこう語る。

「今でこそ多少コミュニケーション能力も上がりましたけど、当時の恵比寿はほんとひどかったんですよ。物事の道理なんておかまいなしっていうか、設計の技術者(先輩)に対しても自分の理屈を当然のようにぶつけるもんだから、そりゃ頭に来ますよね(笑)。だから当時はしょっちゅうケンカしてましたよ。それが今やその設計と恵比寿が大の仲良しなんですから、わかんないものですけど」

 

自らの信念と忍耐で、成長した男

紆余曲折を経つつ、それでも恵比寿はこの課題から決して逃げることはなかった。協力会社や技術センターに篭もってこの組立機と向き合い、黙々と、だが着実に問題を解決していった。それでも、満足いく精度のプローブを製造できる組立機が実現するまでには、2年以上の月日を要した。そのマシンは今では後任に引き継がれ、今でもアップデートを重ねているという。

この経験で得られたものは? という質問に恵比寿は答える。

「当時の自分は、メカの動作なんてまったく知らなかったんで。たとえば、X軸が動いてからY軸が動くまでにディレイ・タイムっていうのを入れないと動きがおかしくなる、なんて基本的なことすら知らなかった。だからSこの案件は、今の自分の仕事の基礎になったというか。あの件を通じてすべてを学んだって感じです。まあ、学んだというより、学ぶしかなかったわけですけど(笑)」

現在はキックボクシングの試合に向けてトレーニング中だという恵比寿。周囲に媚びず、信念と忍耐で自らを成長させてきたこの<バカ者>に、今後も注目したい。

 

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