【CASE3】製造現場のスケジュールの“闇”をITの力で「見える化」する話

PROJECTS
2025.04.05
#ROOKIES PROJECT#新卒#経営企画#若手

ROOKIES’ PROJECT Case.3では、環境工学を専攻をしていた新卒社員・Mさんが、製造現場に入り込み、本格的なツール開発に取り組むお話です!この記事を読むことで、以下のようなことがわかります。

①中小製造業が抱えている問題とは?
②なぜ中小製造業にIT化が必要なのか?
③IT化する上での課題と、解決方法は?

登場人物

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Mさん

こんにちは!
新卒4年目のMです。学生時代は環境工学を専攻していました。新卒2年目でIT担当になり、ITツールの新規導入や社内システムの保守などをやってました。今回はじめて製造現場に入り込み、本格的なツール開発に取り組むことになりました。

社内で製作した製品を、検査するチームです。製品は、だいたい針くらいのサイズですので、顕微鏡を使って検査をします。図面通りに製品が出来上がっているか、細かくチェック!

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検査チーム

会社の意思決定機関、「経営チーム」です。最近、検査チームの残業が気になってます…。とりあえずMさんに調査を依頼した所、想像以上の課題が見えてきました。
果たしてMさん、踏ん張れるのか?!

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経営企画チーム

【用語解説】「IT化」とは

アナログで行っていた業務・作業をデジタルツールに置き換えること。
製造現場では主に、生産性向上を目的として導入される。

仕事量も、人の予定も見えない!

ある日、経営チームからMさんへこんな依頼が…。

検査チームの残業が多い気がします。特にチームリーダーは、毎日最低でも3時間は残業してますね…。
Mさん、ちょっと現地調査をお願いします。

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経営企画チーム

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Mさん

は~い、ちょっと現場を見てきます。

 

この時、両者はまだ事態の深刻さに気付いていなかったのであった…
数日後—————

検査チーム、何をしてるか全く見えない!?

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Mさん

困りました!!何が起きていたかというと…
1.日々のスケジュール表はあるけど、今誰が何をしているのか分からない状態でした。
2.リーダーは、やはり残業をしていました。作業が後ろ倒しになっているのかと思いきや、「スケジュールの作成」に3時間もかけていました!
3.メンバーも残業が多いです。
4.「この型式はこの人しかできない!」とスキルに偏りがあり、結果一部の人に仕事が集中しています。

何ですって?!ということは、このような事が起きているようです。
1.検査チーム内で日々「誰が」「何を」しているのか明確になっていない。
2.検査チームとしての正しいキャパ・スキルを誰も把握できていない。
3.スケジュールの作成方法・作成ツールに問題がある(?)
つまり、実態がわかってない、かつ最適なスケジュールを組むことが出来ていない!ということですね。

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経営企画チーム

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Mさん

でも予定通りに納品はできてますよね。どうしてだろう??
もしかして、無理やり間に合わせているってコト??
ですかね?

もしかしたら…そのような状況になってしまっている可能性大です。

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経営企画チーム

恐怖!中小企業のあるある問題

ーーーーここで閑話休題

実はこのような問題は、中小製造業のほかの経営者と話をしていてもよく話題になることなんです。

中小製造業あるある

次第に歪みが大きくなって悪影響が…

最終的に行き着くのは…

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Mさん

えぇ~~!これが中小製造業の共通課題…。だとしたらヤバすぎる…
うちの検査チームだけに限った話ではないんだな。… これはどうにか解決しなきゃ!!

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Mさん

でも、どこから手をつけたらいいんだろう。
現状、実際のスケジュールも仕事量も、見えない。
ムリとムダが「どこに・どのくらい」あるのかも見えない…。
あれ、もしかして「見えない」ことが一番の問題なのか?

利益を生み出す経営の第一歩!「見える化」

経営チームと打ち合わせの結果、やはり「見えない」ことにより様々な問題が発生していることが分かりました。

というわけで、検査チームの「見える化ツール」を、ITを駆使して作成することになりました。

理想の【スケジュール作成・管理】の姿

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Mさん

IT(デジタルツール)を駆使する事で、これが実現できそうです!紙で見える化するのは大変ですからね…

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Mさん

目標も立てたことだし、早速開発に取り掛かろう!

スケジュールの作成手順、想像の3倍も複雑!?

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Mさん

あとは、「スケジュール作成手順」を検査チームリーダーに教えてもらって、ITツールに落とし込むだけだな!こりゃ思ったより、簡単そうだ!

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Mさん

検査チームのリーダーさん、スケジュールの立て方、教えてくださ~い!

おつかれさま~。スケジュールの立て方を説明しますね。

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検査チーム

検査スケジュールの立て方

 

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Mさん

判断基準が多すぎませんか…?
社内システムの情報以外に、経験や口頭の情報も考慮に入れてスケジュールをつくっているなんて…

それだけじゃなく、お客様からの「今日出荷してほしい!」という要望に応えるために、当日にスケジュールを変更するときもあります。

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検査チーム

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Mさん

急に予定が入るなら、スケジュールを作るのがますます難しくなるじゃないですか!それって、無くせないんですか??

うーーん。一見無茶な要望でも、お客様が必要としてるなら、出来るだけ応えたいからね。それが、うちの強みでもあると思うし。

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検査チーム

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Mさん

なるほど、そうなのか。。うちのような中小企業の場合、大手企業にない「納期の調整力」が強みになるのか!

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Mさん

でも、このままITツールに落とし込むのは難しそうだな。
どうしよう…。
この強みを生かしたまま、簡単にスケジュールを作れるツールはあるのかな?

ツールを探そう!ところが…

何社かに直接問い合わせたり、展示会に何度も足を運び、ツールを探してみましたが、

現場で使えそうなツールが見つからない。。。

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Mさん

困った!!
この複雑なスケジュール作成手順を既存のツールに落とし込むことは出来ないんじゃないか?

やはり、そうでしたか…想定していた通りです。

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経営企画チーム

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Mさん

えっ!?なんでですか?

「納期の調整力」、それは中小製造業が持っている強みです。しかし、これを活かしてスケジュールを作成するためには、一般的なシステム構築の考え方が通用しないのです。

一般的には、大元となる情報を集約(データベース化)し、システムでスケジュールを作成します。そのスケジュール通りに、装置・人が動きます。

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経営企画チーム

しかし「調整力」を活かそうとすると、日々変わる状況をもとにスケジュールを作成・変更する必要があり、それを実現するツールは、なかなかありません。

既存のITツールの中に「人の判断による調整」を加える機能が無い場合、自社内で開発することも必要になります。

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経営企画チーム

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Mさん

なるほど…これはツールを開発するしかないですね!!

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Mさん

でも、このあまりに複雑な手順を、どうやって落とし込めばいいんでしょうか……..

そもそも、現状の作成手順が本当に最適なんですか?
今の手順をそのまま再現することが、最適なツールを作ることにはなりません。「スケジュールが見える」という目的を達成するため「理想の作成手順」から考えるべきです。

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経営企画チーム

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Mさん

確かに!分かりました。
では「理想の作成手順」をもとに、「スケジュール作成ツール」を開発していきます!

自社でのツール開発!一歩一歩、進みます

気持ちを切り替え、以下のように開発を進めていきました。

まずは、最低限の機能を持ったツールを作るそれを実際に検査チームに使ってもらい、機能を確認逐次、修正していく

※このサイクルを、何度も繰り返す

簡単なようで、現実はなかなかスムーズにいきません。

検査チーム 「これじゃ使えないよー!」
検査リーダー「もっとこんな機能が欲しいよー!」

現場の要望に応えながら、検査チームとの打ち合わせや経営チームとのコミュニケーションをとり続けました。

外部のIT会社の力も借りながら、ひとつひとつ、問題点の修正を行い….

そしてついに!
現場で使えるツールを開発することができました…!(パチパチパチパチ)

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Mさん

ツール開発秘話はここでは割愛します…。
気になる方は、是非会社見学にお越しください!
私から直接お伝えします!!

やはりIT化は効果的だった!!

新たに「見える化ツール」を現場に導入した結果、早速効果が現れてきました!

めちゃめちゃ楽になったよー!
ありがとう!!

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検査チーム

効果

(1)誰でもスケジュールの作り方を習得し、作成できるようになった!

スケジュール作成に必要な情報を、明文化した新しい作成手順を、明文化した

(2)誰でも、スケジュールの進捗管理をできる仕組みになった!

別の管理者が、オンラインでいつでも、進捗を見られる

(3)スケジュール作成時間を、2時間も減らせた!

今までコピペしていたデータを、簡単に取り込めるようにした必要な情報が、一画面にまとめて閲覧できるようにした入力も簡単になった!

この効果によって、やっと私の時間を空けることが出来たんだ!
これで、メンバーに新しいスキルを教えたり、改善活動に時間を使えるよ!

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検査チーム

素晴らしいですね!
経営チームにもスケジュールが見えるようになりました。早速見てみましょう。

どれどれ….おや?

メンバーのスキルに偏りがあるようです。
→教育不足がみえてきました!

また、合計時間のつじつまが合いませんね…。今までスケジュールに載らずに隠れていた作業があるようです。
→誰かが黙ってやってくれていた仕事があるということです!

無理をさせてしまっていたんですね。

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経営企画チーム

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Mさん

げげげ!新しい問題が出てきた!

いえ、これは成果ですよ!今までは現状も問題も、見えてすらいませんでした。
検査チームを「見える化」することで、やっと問題が見えるようになりました。

今後は、出てきた問題を1つずつ解決していきましょう!

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経営企画チーム

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Mさん

なるほど!「見える化」って大事なんだなあ。

検査チームで上がった成果を、他チームにも展開してIT化を進めていきましょうね ♪

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経営企画チーム

今回のプロジェクトを振り返って

1.中小製造業にとって「見える化」は有効!

会社が利益を生み出すためには、売り上げを上げることと同時に、ムリとムダをなくすことが必要です。

ムリ:現場に無理を強いること
ムダ:生産現場において本来する必要のない作業

しかし!

中小製造業ではこのムリ・ムダをなくすことが難しい場合があります。
なぜなら、多くの会社はこのような状況だからです。

①現場にムリ・ムダが発生しやすい

・標準化しづらい、自動化しづらい工程が多い
・属人的な作業になりがち

②現場のムリ・ムダが見えづらい

・社員ひとりひとりが高い技術力、対応力をもつため、作業のムリ・ムダを社員が吸収してしまう
→どこで、どのように発生するか分からない

こうした状況に対して、「見える化」は非常に有効です。
工程を明確にし、現状を確認できるようになると、これまで見えなかったムリ・ムダを「異常」として見える化できます。

見えるようになったら、後はなくすだけです。

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Mさん

利益を生み出すのに苦労している中小製造業こそ、「見える化」にチャレンジするべきです!

2.やみくもなIT化は逆効果!?

さあ!早速「見える化」しよう!となったとき、ITツールはとても便利な道具になってくれます。

そんな中で「当社もIT化しなければ!!」
と考える企業は非常に多いのではないかと思います。

しかし、やみくもにITツールを自社に導入するだけではダメです。
効果の無い、無駄な仕事を増やしてしまいます。

あくまでITは「手段」です。
以下の点を考える必要があります。

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経営企画チーム

・なんのためにIT化をしたいのか?
・IT化によって見えたデータ/課題をどう改善していくか?
・IT化することで、会社にどんな効果があるのか?

3.会社の強みを活かしたIT化をしよう!

加えて、中小製造業においては、「会社の強み」を活かしつつ、どうIT化を実現するか?が超重要です!

というのも、今回のツール開発の中で弊社が「すごいことをしていた…!!」と気づいたのです!

なにがすごかったのか?それは
「お客様の希望を最大限叶えよう!!」としていたことでした。

納期について

・「もっと早く届けて下さい!」納期の短縮依頼への対応
・「明日届けて下さい!」飛び込みの依頼への対応

製品の種類について

・お客様のニーズに合わせ、10000種類以上の商品を提供できる
つまり、あらゆる種類の製品を作れる技術力の高さ

購入可能な本数について

・「1本から注文可能!」手間のかかる少量注文に応えている!
・通常、ロット売りが一般的(最小100本からしか買えない、等)

そして、この凄さを実現できているのはなぜかと言うと、

検査チームのメンバーが超優秀だったからです!(まさに少数精鋭!)

・1人で沢山の種類の部品を検査できる!
・作業がメチャクチャ早い!ミスや漏れがない!
・急なスケジュール変更にも対応してくれる!!(ありがとうございます)

優秀な現場を持ち、細かい対応ができる調整力は大手にはマネできない中小製造業の強みです。

この強みを活かせないIT化は、もったいない!

導入する現場の特徴や、作業フローを考慮して、どんな情報が見えたらいいのか?どんな画面だと使いやすいのか?を一つ一つ考えていく必要があります。

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Mさん

「既存のツール」ではなく、ツール開発が必要になる場合もあり、手間がかかりますが、その労力に見合った効果が得られるはずです!

最後に。今後の展望は?

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Mさん

最終的には、会社全体について「製造現場を効率よく、働きやすくする仕組み」を作っていきたいです!

具体的には、

・製造現場、全チームのスケジュールをAIが自動作成
・進捗状況や、完成した製品の品質を自動で登録、いつでも・どこでも確認できる
・材料や消耗品などを、自動発注ができる…etc.

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Mさん

よりよい製造現場にするため、やることは山積み…!
一つ一つ挑戦していき、形にしていきます!

What's a Company Tour?

会社見学って、なんなんだ?

ありのままを、
正直に。

実は業界未経験者、非理系出身者が多数在籍している サンケイエンジニアリング。ちょっと変わったところが 多いがゆえに、見る・聞く・触るの体験を大切にしています。

ここを観たい、こんな社員と話したい、相談にのって ほしいなどのリクエストも遠慮なくどうぞ。

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