音楽の世界から技術営業へ。「全員未経験」の言葉を胸に飛び込んだ先に見た意外な共通点

東京芸術大学音楽学部を卒業後、映像制作やドイツでの生活経験など、多彩なキャリアを持つI.K.さん。そんな彼女が未経験から技術営業としてサンケイエンジニアリングに加わったのは2023年のことです。「全員未経験から始まる」会社で、ものづくりの奥深さと論理的思考を学ぶ日々。芸術と製造業という一見異なる世界の意外な共通点を発見しながら、新たなステージで活躍するI.K.さんに、サンケイエンジニアリングの魅力を聞きました。
芸大からドイツ留学を経て日本製品の良さに気づく
――芸大出身とのことですが、どのような学生生活を過ごしたのでしょうか。
東京芸術大学の音楽学部楽理科で学んでいました。実技ではなく研究がメインで、私はドイツの作曲家ワーグナーが、ベートーベンからどのような影響を受けたかを研究していました。そのかたわら、オーケストラでティンパニやシンバルなどを担当し、さらに、バンド活動ではドラムを演奏することも。アルバイトも音楽関係を選び、照明や映像の仕事を始めました。
卒業後はアルバイト先に正社員として就職し、合計で4年ほど働きました。主に3Dアニメーションなど抽象的な映像を制作してスクリーンに映す仕事でした。音楽に合わせた映像を出すのがゲーム感覚で、楽しく働いていました。
――ところが、心機一転、ドイツに渡航されます。
当時勤めていた業界で、一生は続けられなさそうだと思ったこと、また海外など他の世界も見てみたいという気持ちがありました。最初はワーキングホリデーで1年、その後就労ビザを取得してさらに1年、計2年弱滞在しました。語学学校に通いながら、日本食レストランで働き、またせっかくなのでドイツ人の先生のもとで音楽の勉強も続けました。
ドイツに行くことによって、日本製品の素晴らしさを改めて実感しましたね。包装一つをとっても日本の製品は使いやすさを考えて作られているなと。例えば、ドイツのチーズの包装などは、開けたら一気に全部開いてしまうんです(笑)。日本の製品は、開封後に再度密閉できるチャックがあるなど、気が利いていますよね。
帰国を決めた理由は2つあって、食事が口に合わなかったことと、ドイツはサッカー大国なので私の大好きな野球があまり見られないこと。やっぱり日本に戻りたいと思いました。
――サンケイエンジニアリング入社の経緯を教えてください。
帰国して半年間ほど、フリーランスで音楽制作の仕事をしていました。しかし、家で一人でパソコンとピアノに向かう日々に寂しさを感じてしまい、就職活動を開始します。ドイツで日本製品の良さを感じたので、日本の製品を海外に出すような仕事に関わりたいと考えていました。
しかし、就職活動は難航。ワーキングホリデーの経験を活かしながら何か海外と関わるような仕事を探していたのですが、経歴がユニークすぎるせいか少し苦戦しました。「この人は何ができるんだろう」「何がしたいんだろう」と思われてしまったのでしょうね。だからこの経歴を「面白い」と思ってくれるような会社でしか働けないと思っていました。そんな時にエージェントに紹介してもらった会社の一つが、サンケイエンジニアリングでした。
最初はオンラインでのカジュアル面談、次に会社見学に参加しました。会社見学では社員の方々が仕事内容を詳しく説明してくれて、「ここまで見せてくれるんだ」と親切さに驚きました。
入社の決め手は、役職者と社長との面談です。会社見学や試験から見えた、私の長所と短所、個性を見抜いて「もし入社したら、ここを伸ばしてここを直していこう」とプランを立ててくれました。「この1日でこんなに見てくれたんだ」と感動しました。また、私はモノづくりについて未経験なことが心配だったのですが、「プローブを扱ったことがある人はほぼいない。全員未経験からのスタートです」と聞いて安心できました。
論理的思考を鍛えつつ仕事に邁進
――現在の技術営業としてのお仕事内容を教えてください。
先輩方がお客様と打ち合わせして決めたものの図面を描いたり、社内向けに製造の手配をしたりしています。時にはお客様から依頼された実験や検証も行います。一日の間にも変化する状況の中で、常に優先順位を変えながら、こういったさまざまな業務に取り組んでいます。私は1カ所で黙々とシングルタスクをするのが苦手なので、1日の中でも何種類もの仕事ができる今の仕事は自分に合っていると感じています。
――未経験から始めて大変だったことはありますか。
現在私がぶつかっている一番の壁は、結論に至るまでの論理的な説明です。私は「なぜそうなったのか」「どういう根拠があるのか」を説明するということを今までしてきませんでした。お客様と打ち合わせするためには、この説明力が必要なので、今はその訓練をしています。
特に心がけているのは「なぜなぜ5回」です。知らないことがあったら調べて終わりではなく、そこから出てくる疑問をさらに深掘りしていく訓練です。最初は疑問すら思い浮かばないのですが、訓練をしていくと5回くらい「なぜ?」と深掘りできるようになるんです。これは会社で教えてもらったことで、実践しています。
―― 音楽とモノづくりに共通点はありますか。
意外と似ているところがあると感じています。例えばさまざまな楽器で演奏するオーケストラは、一つ音を間違えただけでとんでもない曲になってしまうことがあります。それはモノづくりでも同じで、工程の中で一つでも手を抜いたら粗悪な製品ができてしまいます。
逆にモノづくりと音楽の違いは、評価のされ方ですね。音楽だと人の好みによって、良い悪いの感じ方は千差万別ですが、モノづくりにおいては使えなければ意味がないので、そこでのみ善し悪しが評価される点です。
「全員未経験」から始まる多彩なキャリア
―― 今後のキャリアについてはどのように考えていますか?
直近の目標としては、お客様の前に立ち、お客様の課題解決のため打ち合わせがしっかりできるようになりたいです。更に将来的には、国内のお客様対応を問題なくできるようになった上で、海外のお客様にもアプローチできたらいいなと思っています。
―― 未経験から技術営業に挑戦したい人へメッセージをお願いします。
私も最初は不安でしたが、プローブという製品のニッチな性質上、扱った経験がある人はほとんどいませんでした。社長がいう通りはじめは「全員未経験」なんです。ですから、知識だけでなく、モノづくりの考え方や哲学のような、根本的なところからしっかりと教えてもらえる体制が整っています。
私自身、入社してから日常生活の見方も変わりました。電車に乗っていても「この企業の工場はここにあるんだな」と気づいたり、以前は気にも留めなかった電気機器の仕組みに興味を持つようになったり。こうした「モノづくりの視点」が自然と身についてくるのも面白い経験です。
多様なバックグラウンドを持つ人たちが互いに支え合いながら成長できる環境は、未経験から挑戦する人にとって大きな魅力だと思います。技術やモノづくりに興味がある方はもちろん、私のように異なる分野から飛び込んでくる方でも、サンケイエンジニアリングでは挑戦できる環境と現場がいつでも開かれています。ぜひチャレンジしてみてください!