「人生には仕事よりも大事なものがある。」ライフステージの変化を尊重できる職場。そこには「感謝と互助」があった。
サンケイエンジニアリングの哲学に迫る連載インタビュー。第4回では、仕事の基礎・基本の教育により「自律」した社員で構成されるからこそ、自由で寛容な文化が成り立つ組織の実態を解き明かしました。
今回は、出産・育児・介護等のいわゆるライフステージの変化に対し、会社がどのように寄り添うことができるかを掘り下げていきます。「人生には仕事よりも大事なものがある」と高らかに宣言するその思想の真髄、「感謝と互助」との深い関係性に迫ります。
――「仕事よりも大切なものがある」という考え方は、成果を重視するビジネスの現場と、時に矛盾しそうなイメージがありますが、いかがでしょうか?
そこは矛盾しないと考えています。むしろ、「人生には仕事よりも重要なことがある」という事実を無視することこそ、人間的に無理がある経営判断だと確信しています。
社員は、会社の部品ではありません。一人ひとりに、会社とは別の場所で営まれる、かけがえのない人生があります。その人生の充実こそが、仕事における高いパフォーマンスの源泉になるはずです。もし育児や介護といった人生の一大事を「仕事の妨げ」と捉え、社員に無理を強いるとすれば、これはビジネス・仕事以前に、人生を大切にすることができていない会社、ということになります。
経験を積み、会社の文化を深く理解した社員は、会社にとって大切であり、価値あるいわば「資産」です。その貴重な資産を、ライフステージの変化で活かせなくなることは、経営的にみて大きな損失と捉えることもできます。また社員にとって大変なときこそ、会社が助けになる存在でありたいとも思います。ライフステージの変化は当たり前におきることであり、その時に、会社を都合よく使って頂きたい、社員にとって会社はそんな便利な存在でありたいと考えています。
――具体的な仕組みとして、育児や介護で長期休暇や時短勤務が必要になった場合、会社としてはどのように動くのでしょうか?
長期休暇や時短勤務を希望する場合、わかっているのであれば早めに連絡するようにお願いしています。可能な限り早い段階で社内全体をみてリソース配分を検討します。また社内全体で検討することで、一人の社員のライフステージの変化にどう対応するか、という考え方を周知し、知見として広げていきます。
ここで重要なのが「感謝と互助」という考え方です。基本「困った時はお互い様」です。
ライフステージの変化は誰にでも起こりえます。発生した事象に文句をいうのではなく、
まずは気持ちよくプライベート(人生)に向き合ってもらえる状況を知恵をだしあって創り出しています。
この「感謝と互助」は当社の経営哲学のなかでももっとも重要な、理念の根幹に位置づけられるものです。仕事は一人で実施するものではない。かならず他者の存在を必要とします。そのためにまず忘れてはいけないのが、他者に対しての「感謝」と、お互い様という「互助」なのです。

――仕事復帰や働き方の変更において、製造という事業領域が有効に機能するとお聞きしました。具体的にはどういった点で有効なのでしょうか?
例えば育児や介護におけるライフステージの変化によって、何らかの事情で以前と同じような働き方ができなくなる、しかし収入は必要といった状況になったとき、真価を発揮します。短時間、製造現場で作業をして出来高で収入を得る、あるいは限られた時間の中で専門性の高い製造業務に従事しパフォーマンスを発揮してもらう、というように多種多様な働き方を用意することも可能です。これは私達が製造現場をもっているからこそできる、仕事の多様性です。自身の現在の状況と合わせて仕事のスタイル、種類を選ぶこともできます。
――働き方を変えた社員に対して、会社として求めることはなんですか?
期待することは「その時々の状況下で、最大限の成果を出すこと」です。
私たちは前述のとおり、社員のライフステージの変化に応じて、様々な働き方のステージを用意することができます。フルタイムで働くステージもあれば、時短勤務のステージ、特定の業務に特化したステージもあります。大切なのは、社員が自らの人生の状況に合わせて、主体的にそのステージを選択し、そこで求められる役割と責任を全うすることです。
例えば、状況的に1日3時間しか働けないのであれば、その3時間で最大限の価値を生み出すことに集中してもらう。決して、過去の働き方や他の社員と比べる必要はありません。会社は、その時々の貢献度を正当に評価し、給与として応じます。
――長期的に在籍してもらう、という考えになるのでしょうか?
長期的に在籍してほしい、ということより、活躍できる人材を手放したくない、ということです。活躍できる人材は経験と知識をもっています。
また、新しい人材を一から採用し、育成するには、膨大な時間とコストがかかります。長年かけて培われた技術、お客様との信頼関係、サンケイエンジニアリングらしさといった暗黙知は、簡単に育めるものではありません。
だからこそ社員一人ひとりの人生に役立てて頂けるよう、長く働き続けられる環境を整える。その結果として、経験豊かな人材が社内に蓄積され、組織全体の力が底上げされていく。この好循環こそが、変化の激しい時代を生き抜くための、私たちの重要な経営戦略でもあるのです。
社員の人生への尊重こそが、会社の未来を創る
ライフステージの変化に寄り添うことができるのは、「仕事よりも人生には大切なものがある」という考えと、サンケイエンジニアリングに根付く「感謝と互助」がベースとなっているからでした。
これまでの連載を通じて、サンケイエンジニアリングの様々な哲学に触れてきました。最終回となる次回は、重要な価値観、「信用と信頼」をテーマにお届けします。