【#1】頭でわかっていたはずの「現地・現物」その意味をはじめて実感した日

COLUMN
2026.08.28
#採用担当海外出張記#若手

はじめまして。サンケイエンジニアリング採用担当のY.O.です。入社2年目、普段は、面談をしたり、会社説明会で学生さんを案内したり。海外はもちろん、出張とはあまり縁のない、そんな毎日を送っていました。

そんな私に、ある日ふいに「カンボジアへ行ってきてほしい」という話が降ってきたのです。採用担当が、海外出張。しかも、行き先はカンボジア。「え、なぜ私が?」正直、頭に浮かんだのは戸惑いばかりでした。

なぜ、採用担当の私が?

理由は、当社とカンボジアのつながりと、私自身の仕事にありました。

当社には、カンボジアに拠点があります。そこでは現地のスタッフが、日本で製造した部品を検査しています。私は面接や会社見学会で、学生さんに「カンボジアに拠点があるんですよ」と話してきました。でも、その現場を、自分は一度も見たことがない。学生さんに会社を語る立場でありながら、肝心のその場所を知らないままでは、どこか実感のこもらない、借りものの言葉になってしまっていました。

だったら、自分の目で確かめてくるしかない。というわけで、採用担当の私が、カンボジア出張へ行くことになりました。

そして、この初めてづくしの出張は、思いがけず、私にたくさんの気づきをくれました。今回はそのお話を、出発前のドタバタからお伝えします。

トラブルあっても、「できない」であきらめない

意気込んで準備を始めた矢先、さっそくつまずきます。パスポートを開いてみたら、なんと期限が切れていたのです。慌てて調べると、通常の申請では、どうやっても出発日に間に合わない。窓口でも「難しいですね」と言われ、正直、一度は「これはもうダメかもしれない」と諦めかけました。

でも、そこでふと、ふだん上長からよく言われている言葉を思い出しました。「『できない』と言われたからって、すぐに諦めない!」。そこで諦めてしまえば、話はそこで終わり。でも、「その方法がダメなら、ほかにやりようはないか」と、そこから考えに考える。それが大事なんだ、と。

そう思い直して、頭を「どうすればできるか」に切り替えました。調べられるだけ調べ、あちこちに問い合わせ、詳しそうな人に片っ端から聞いてまわる。すると、条件次第で発行を早める方法が見つかり、本当にギリギリ、出発に間に合わせることができたのです。

「できない」であきらめず、「どうやったらできるか」を考える。トラブルにぶつかったときこそ、この考え方が効いてくるのだと、実感しました。

「現地・現物」とはこういうことか、と納得

ここで少し、当社の考え方の話をさせてください。ものづくりの会社である当社が大切にしている考え方に、「現地・現物」があります。机の上で考えるだけでなく、実際にその場所へ足を運び、現物を、見て、さわって、自分の目でたしかめる。そういう考え方です。

人はどうしても、思い込みや先入観で物事を見てしまいます。しかし、頭の中のイメージが本当に現実と同じなのか。それとも、まるで違うのか。それは、実際にその場に立って、見て、さわって、感じてみないとわかりません。だからこそ、まずは、現地・現物で事実を確かめる。それを、当社は大切にしています。

そして、その言葉の意味を、私は現地に着いた初日に、体で思い知ることになります。

機内では、買っておいた本で、カンボジアの歴史を少しだけ予習していました。とりわけ驚いたのは、内戦の責任を問う裁判が、2000年代の後半になってようやく行われたということ。自分が生まれたあとの、そんなに近い過去だったのか。正直、少し不安な気持ちにもなりました。

そんな「重たい先入観」を抱えながら、飛行機は夜のプノンペンへ。窓から見下ろした街は、首都とは思えないほど、真っ暗でした。光っているのは、車のライトと、道沿いの店の灯りだけ。「本当に、ここが首都なんだろうか?」不安は、いっそう強まります。頭のなかの「暗くて、どこか不安な国」というイメージは、いよいよ確かなものに思えてきました。

ところが、です。空港から車で街中を走りはじめたとたん、その思い込みは、がらりとひっくり返されました。灯りの少ない屋台のまわりに、夜遅くまで人が集まり、バイクが二人乗りで軽やかに行き交っていく。上から見たときは「暗くて、静かな街」に見えたプノンペンが、地上では、こんなにも生き生きと息づいていたのです。

噂で聞いていたイメージとも、本で抱いた不安とも、上空から見た第一印象とも、まるで違う。プノンペンの本当の姿が、いま、目の前にある。自分が勝手に抱いていた思い込みが、目の前の現実によって、次々と覆されていきました。近づいて、その中に立ってみて、はじめて見えてくるものがある。「現地・現物って、こういうことか」。頭では知っていたはずの言葉の意味が、初日にして、すとんと腹に落ちました。

翌日、あらためて昼のプノンペンを歩いてみると、夜とはまた違う顔がありました。数えきれないほどのバイクが行き交い、通りには屋台や市場がひしめき、人々の活気であふれている。本で読んで抱いた不安も、夜に感じた第一印象も、実際に歩いてみれば、すっかり塗り替えられていきました。思い込みだけで決めつけず、その場に立って、自分の目で確かめてみる。その大切さを、もう一度、強く感じたのです。

初めての環境が、教えてくれたこと

こうして振り返ると、カンボジア出張が決まってからの日々は、学びの連続でした。出発前のパスポートのトラブルでは、「できない」で終わらせず「どうすればできるか」を考えることの大切さを、あらためて思い知りました。そして実際に街へ降り立ってみて、ふだん言葉としては知っていた「現地・現物」の意味を、はじめて実感をもって理解できた気がします。

社長や上長から、いつも口酸っぱく言われていること。頭ではわかっているつもりでも、初めての環境や、初めての仕事に飛び込んでみると、「そういうことだったのか」と、あらためて腹に落ちる。今回、それがよくわかりました。

カンボジアには、良くも悪くも、いろいろな噂があります。でも、実際のところどうなのかは、行ってみないとわかりません。だから、噂ではなく、私がこの目で見てきたそのままを、連載でお伝えしていきます。

次回は、街を「見る」だけでなく、現地の人と関わり、話を聞くことで深まっていく「現地・現物」について、お届けします。

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