「残業は会社の利益を毀損する」。時間ではなく価値と生産性を追求する理由
サンケイエンジニアリングの哲学に迫る連載インタビュー。第2回では、「手当」を排し、純粋な成果に「基本給」で応えるという、極めて合理的な給与原則に迫りました。その根底にあったのは、「給与とは皆で生み出した利益の公正な分配である」という考え方でした。
今回は、その利益を最大化するにあたって、仕事を語る上では避けては通れない、「残業」というテーマを掘り下げます。サンケイエンジニアリングでは、「残業は悪だ」と言われています。そうまで言い切る姿勢の裏にある、徹底したロジックと仕組みとは何か。時間ではなく成果と価値で評価される働き方の本質に迫ります。
――「残業は悪」とは強い言葉です。なぜ残業を問題視するのか、基本的な考え方から教えてください。
これは精神論ではなく、私たちの給与原則に直結する、極めて合理的な理由に基づいています。前回の話の通り、私たちの給与は会社の「利益」から分配されます。では、残業をすると、その利益はどうなるでしょうか?
会社は、残業した分の割増賃金を支払います。これはつまり、会社の利益を直接的に毀損していることに他なりません。将来の昇給や賞与として分配されるべき原資が、残業代として先回りして消費されていくのです。この構造を理解すれば、「残業は会社と社員、双方の利益を損なう非合理的な行為、つまり良くないことである」という結論が導かれることは、ごく自然であると考えています。
もちろん、お客様からの緊急の要望など、事業上やむを得ない残業は存在します。私たちが問題視しているのは、そういった突発的なものではなく、「常態化した、非効率な残業」のことです。
――日々の業務の中で、どのようにして残業しない体制を実現しているのでしょうか?
その鍵となるのが、「すべてはゴールから逆算して考える」という、社内に徹底されている仕事の進め方です。
仕事には必ず達成すべきゴールがあります。私たちは、まずゴールを明確にし、そこから逆算して、1週間そして日々のタスクまでをしっかり計画します。この逆算思考が習慣化されていれば、「このままでは間に合わない」「もし突発事項が起きた際のバッファがない」といった大小のリスクも、早い段階で把握できます。
そして、ここからが重要なのですが、私たちはそのリスクを個人任せにはしません。チームでは日々の進捗確認が当たり前に行われており、特定の業務に遅れが見られれば、他のメンバーがサポートに入ります。これは単なる「助け合い」というだけではなく、チーム全体のリソースを最適化し、生産性を最大化するための合理的なシステムとして機能しています。この「チーム体制」こそが、私たちの生産性の源泉なのです。
ゴールからの逆算、そしてチームによるリソースの最適化。このサイクル機能を利用して、特定の誰かに無理な負荷がかかり結果として残業が発生するという事態が、構造的に起こりにくくしています。

――とはいえ、残業が多くなってしまう人と、そうでない人が出てくることもあるかと思います。その違いはどこにあるのでしょうか?
私たちの経験上、慢性的な残業が発生している場合、その多くは個人の能力や意欲の問題ではなく、仕事の進め方、つまり私たちが「仕事の基礎・基本」と呼ぶ部分に改善の余地があるケースがほとんどです。
「仕事の基礎・基本」とは、逆算思考や効率的な段取りの土台となる「仕事の型」のことです。この型が身についている社員は、無駄なく業務を進めることができるため、残業はよほどのことがなければ発生しません。実際、私たちの会社では役職が上の社員ほど、早く帰る傾向にあります。それは、彼らがこの生産性の高い仕事の型を、誰よりも体得しているからです。
つまり、「仕事の基礎・基本」が身につけば身につくほど生産性が上がっていくということです。だからこそ、サンケイエンジニアリングでは入社後、徹底してこの「仕事の基礎・基本」を学び実践して貰います。そうやって個人が「仕事の基礎・基本」を身につけ成長することが、そのまま会社全体の利益に繋がると考えています。
――世間には「残業代で稼ぐ」という考え方もあります。
私たちは、社員の皆さんには「時間ではなく、創出した価値や成果で稼いでほしい」と願っています。
毎月残業をして、ようやく数万円の時間の対価を得る働き方。それに対して、毎日定時で帰り、創出した価値が評価され、基本給そのものが数万円高い働き方。どちらがより合理的で、個人の市場価値を高めるでしょうか。
残業をせずに高い成果を出せるということは、それだけ生産性の高い人材であるという証です。会社は、その価値に対して、昇給という最も直接的な形で応えたい。その合理的なサイクルこそが、会社と社員、双方にとっての真の利益に繋がると、私たちは確信しています。
残業ゼロへの挑戦は利益と成長を最大化する合理的なサイクル
サンケイエンジニアリングが「残業は悪」と断言する背景には、会社の利益、社員の給与、そして個人の成長がすべて連動している、明快な哲学がありました。
ゴールから逆算し、チームでリソースを最適化する。残業を個人の問題ではなく、組織の改善点と捉える。これらが組み合わさることで、時間ではなく価値で評価される、本質的な働き方が実現されているのです。
さて、このように時間と生産性を厳格に管理する一方で、サンケイエンジニアリングの働き方は、驚くほど「自由」な側面も持っています。
次回は、「サンケイエンジニアリングが考える人間性をベースにした働き方とは?」を切り口に、「有給取得や遅刻・早退」をテーマにお届けします。「大幅な遅刻でも周囲は笑いで迎える」という、にわかには信じがたい情景はなぜ成立するのか、その謎に迫ります。