「手当」は、本当の公平さを損なう。成果にまっすぐ応える、サンケイエンジニアリングの合理的な給与原則
サンケイエンジニアリングの哲学に迫る連載インタビュー。第1回では、会社と社員が「互いの利害関係」に基づき、結果として共に成長していくという、本質的な「終身雇用」の考え方に迫りました。
第2回のテーマは、その関係性が色濃く反映されている「給与」です。サンケイエンジニアリングでは、どのような原則のもとで給与が決定されるのか。「成果と貢献度に応じた、利益の分配」であり、「不要な手当は設けない」とする、その極めてシンプルなルールの真意について聞きました。
――前回、会社と社員は「合理的な利害関係で成り立つパートナー」というお話がありました。その考え方は、給与にはどのように反映されているのでしょうか?
まず大前提として、給与は「会社から社員への支払い」ではなく、「事業活動によって生み出された利益を、合理的に分配するもの」だと考えています。
私たちのビジネスは、お客様への価値提供から始まり、その対価が売上となり、最終的に利益を生み出します。この利益は、社員一人ひとりの貢献、つまり「成果」の集合体です。そうなると給与とは、価値創造に参加した社員一人ひとりへ、貢献度に応じて利益を分配する、という極めてシンプルな仕組みであるべきです。
これが私たちの給与制度における揺るぎない原則です。利益につながる価値創造への貢献度が高ければ、分配される利益である給与も大きくなる。その逆もまたしかりです。これは、私たちのビジネスを支える、明確なルールだと考えています。
――多くの会社にあるような、家族手当や住宅手当といった「手当」を設けていない理由もその原則によるものなのでしょうか?
その通りです。「手当」という仕組みは、私たちが最も大切にする「成果と報酬が連動する」という原則からずれた位置にあるものだと考えているからです。例を挙げて説明させてください。
ここに、二人の社員がいるとします。
Aさんは、独身。素晴らしい成果を出し、会社の利益に大きく貢献しています。
Bさんには、家族がいる。しかし、残念ながら、なかなか成果を出せていない状況です。
もしここに家族手当があると、貢献と報酬が一致しない、という状況が生まれてしまいます。このような仕組みは、Aさんのような成果を出している社員の頑張りに、正当に応えられていないことになってしまいます。
給与は、個人の生活環境によって変動するものではなく、純粋に「会社の利益に対してどれだけの価値を生み出したか」という成果に対して支払われるべきです。だからこそ私たちは、手当という不公平を生み出す可能性のある仕組みではなく、「成果に応じて基本給そのものを上げる」という、よりシンプルで透明性の高い方法を選択しているのです。

――では、社員が給与を上げるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
第1回の話と繋がりますが、私たちの原則は「成長と成果を出すための機会(ステージ)を、全員に公平に提供する」ことです。これは、社員が「給与を上げる機会を、自らの意志で利用できる」ということを意味します。
私たちは、年齢や社歴に関わらず、社員が成果を出すことができれば、新しい仕事やより責任ある役割といった次のステージを用意します。社員は、そのステージを、給与を上げたり自分の人生を豊かにするために利用し、さらなる成果を出していくのです。私たちは、その好循環を大切にしています。
つまり、「どうすれば給与が上がるのか?」という問いへの答えは、「会社が提供するステージを利用し、成果を出すこと」、それだけです。給与を上げるための道筋は、すべての社員に開かれており、その道をどう進むかは、社員一人ひとりの主体性に委ねられているのです。

――「成果」とは、具体的にどのような視点で評価されるのでしょうか?
「成果」と聞くと、売上のような数字をイメージされるかもしれませんが、私たちの定義はより本質的で、「会社の未来の利益に繋がる、価値ある行動のすべて」を指します。
例えば、社内の改善や人の採用・育成など、会社のより良い未来に繋がるもの全てが成果です。
私たちが新入社員に「先輩の仕事を奪いなさい」とよく言うのも、この会社のより良い未来に繋がる仕事の成果の1つだからです。先輩の仕事を引き継ぐことができれば、経験豊富な先輩が、より付加価値の高い仕事に集中できる。これは、会社全体の価値創造能力を高める、直接的な貢献と言えます。
もちろん、それらが最終的に会社の利益に繋がることは大前提です。ただ、私たちは、目先の数字だけではなく、未来の利益を生み出すための「価値あるプロセス」にこそ、意味があると考えています。日々の仕事の中で、誰かのために、チームのために行動し続けること。その一つひとつの貢献が、巡り巡って会社の未来の利益を創り出すと信じており、私たちはその価値を給与という形で、まっすぐに応えたいのです。
給与とは、成果に対する、合理的で公正な「分配ルール」
サンケイエンジニアリングの給与哲学は、「公平性」と「合理性」という、2つの原則に貫かれていました。それは、社員個人の背景に左右されることなく、純粋な「成果」に報いるという強い意志の表れです。
手当を排し、利益の分配として給与で答える。その給与を上げるための機会は、全社員に公平に用意されている。この明快な価値観こそが、社員の自律的な成長を促し、会社との
Win-Winな関係を築いているのです。
さて、成果を出すためには「時間」も関係してきます。もし、多くの時間を使わなければ成果が出せないとしたら、そのシステムは合理的と言えるでしょうか。次回は、「残業」をテーマにお届けします。「残業は悪」とはっきり言い切るその思想の裏側と、残業をせずに成果を出すための具体的な取り組みに迫ります。
